巨匠の現在のところ最新作。911とそれに絡む陰謀とパラノイアを扱ったピンチョンに期待する要素は大体入った作品。私事だが初めて自分の生きた同時代を舞台にした作品なのであまり予備知識も要らず、小ネタのサブカルチャーも結構分かってしまう。FFとかポケモンカードとかドラゴンボールとか著者や訳者よりもよく知ってるかも知れないものが出てきて仰ぎ見る対象であったピンチョンの作品にある程度余裕を持って望めた気がする。気がするだけだが。 でも実際に競売ナンバーとLAヴァイスの中間くらいの感覚で読みやすい作品。

トマスピンチョンにしては読みやすい。陰謀論満載の内容で、ぐいぐい読ませる。本筋に関係のないちょっとした脱線話も満載でそれがとても面白い。分厚くて気合いを入れて読み始めたが、あっと言う間に読み終えてしまった。まだまだこれからもたくさんの作品を出してほしいですね。

トマス・ピンチョン全小説、とうとう現時点での全ての著作をこれで網羅したことになる。今回の舞台はニューヨーク。911前後のアメリカが多角的に描かれる。